ご挨拶・設立趣旨


伝わる技術表現の研究


当研究所の運営主体である株式会社ビットマイスターは、主に工学系研究の理論を実証するためのプロトタイプソフトウェアを制作しています。提供したソフトウェアや関連するシステムを使って、研究者の方が研究成果の発表を行う機会が多々あります。そのサポートを通じて感じるのは、研究の新規性が高ければ高いほど、一般市民はもちろん、分野が違えば専門家でさえ、その内容が現実の世界とかい離し、伝わりづらくなっていくということです。また、研究に対する評価に関しては、商用製品などに対して行われる、いわゆる有用性や経済性などの数値化し易い評価と異なり、新規性や、独創性、将来性といった抽象的なパラメータによるものが求められ、相対評価が難しいといった問題があります。


近年は、専属の広報担当をおいて研究のPRを積極的に実施している研究機関も増えてきましたが、プレス発表やWebによる発信支援が中心であり、展示会や学会といったインタラクションな場での発表は、現場の研究者や技術者に委ねられていることがまだまだ多く見受けられます。内外組織向けの成果発表会や一般向けのイベントなど研究成果を伝える場が数多くあるにも関わらず、効果的な研究発表の展示手法とその評価方法が確立されていないのが現状です。


技術表現研究所_所長写真

当研究所では、そうした状況をふまえ、研究成果を社会にわかりやすく発信するための方法論を確立していきたいと考えています。どうしたら研究の魅力が伝わるのか、どのような見せ方をすれば関心をひくことができるのか、そして、どう理論を展開すれば人は理解するのかを調査・研究し、性能や品質だけではない、ワクワク感を表現するための方法を明らかにしていきます。



平成23年8月1日
技術表現研究所 所長 笠原 勉